IPOを目指しているものの、「監査法人が見つからない」「大手監査法人に断られた」と悩む企業は少なくありません。近年は、監査法人側の人材不足や受嘱審査の厳格化により、IPO準備企業が監査法人を確保しづらい状況があります。
監査法人が決まらないと、上場申請に必要な監査証明を受けられず、IPOスケジュールや資金調達計画に影響する可能性があります。監査法人探しは「上場直前に行う手続き」ではなく、IPO準備の初期段階から進めるべき重要事項です。
監査難民とは、IPOを目指す企業が、上場準備に必要な監査を引き受けてくれる監査法人を見つけられない状態を指します。
IPOでは、投資家に信頼できる財務情報を開示するため、監査法人による監査証明が必要です。日本取引所グループも、上場申請までに申請直前2期間分の監査証明が必要になる点に留意すべきと案内しています。
そのため、監査法人の選定が遅れると、必要な監査期間を確保できず、上場時期の延期につながるおそれがあります。特にN-2期から監査法人の関与を受けるには、早い段階で候補探しや面談を進める必要があります。
監査法人が見つかりにくい背景には、企業側と監査法人側の双方に理由があります。
IPO監査には、上場準備特有の会計論点、内部統制、開示、証券会社・取引所対応などの知見が求められます。一方で、監査法人は既存の上場会社監査も抱えており、新規のIPO案件を無制限に受けられるわけではありません。
監査法人は契約前に、企業の事業内容、経営管理体制、会計処理、内部統制、関連当事者取引、資本政策などを確認します。経理体制が未整備、会計論点が整理されていない、資料提出が遅い企業は、受嘱を断られる可能性があります。
IPOを目指す企業は、まずBig4などの大手監査法人に相談しがちです。しかし、大手監査法人は受嘱審査が厳しく、報酬水準も高くなりやすい傾向があります。企業規模や上場予定市場によっては、準大手・中小監査法人のほうが適している場合もあります。
監査法人が決まっていない状態が長引くと、IPO準備全体の進行に影響します。単に「監査法人を探す」だけでなく、監査法人から見て受け入れやすい会社になっているかを確認することが重要です。
監査法人を選ぶ際は、知名度や報酬だけで判断せず、自社の状況に合うかを総合的に確認しましょう。
| 確認項目 | 見るべき内容 |
|---|---|
| 登録状況 | 登録上場会社等監査人かどうか |
| IPO実績 | 上場準備企業の監査経験があるか |
| 業界理解 | 自社の業種・ビジネスモデルに近い監査経験があるか |
| 対応体制 | 担当チームの経験、連絡のしやすさ、対応スピード |
| 報酬 | 費用が自社の予算・成長フェーズに合っているか |
特に重要なのが、登録上場会社等監査人かどうかです。日本公認会計士協会は、上場会社等が監査契約を締結する際、監査法人または公認会計士が上場会社等監査人名簿に登録されているかを事前に確認するよう案内しています。
IPO監査を依頼する場合は、候補先の登録状況、IPO実績、担当チームの体制を必ず確認しましょう。
監査法人が見つからない場合、候補先の少なさだけでなく、自社の準備状況にも原因があるかもしれません。以下に当てはまる企業は、監査法人から慎重に見られやすくなります。
監査法人は、IPOを目指す意思だけでなく、上場企業として必要な管理体制を整える実行力を見ています。監査法人に選ばれるためには、経理・内部統制・資料管理の整備を先に進めることが重要です。
監査法人との面談を円滑に進めるには、会社の状況を説明できる資料を事前に整えておく必要があります。
資料が整理されている企業は、監査法人がリスクや工数を判断しやすくなります。反対に、資料提出に時間がかかる企業は、管理体制への不安を持たれやすくなります。
これらの資料を自社だけで整えるのが難しい場合は、IPOコンサル会社に相談するのも一つの方法です。IPOコンサル会社は、監査法人や主幹事証券会社に説明しやすい形で資料を整理し、会計・内部統制・開示体制の課題を事前に洗い出す支援を行います。
監査法人に打診する前に準備状況を整えておくことで、受嘱審査での印象改善や、面談後の対応スピード向上につながります。
大手監査法人に断られたとしても、IPOを諦める必要はありません。準大手・中小監査法人の中にも、IPO監査の実績を持つ法人はあります。自社の規模や上場予定市場に合う監査法人を幅広く検討しましょう。
主幹事証券会社、VC、IPO支援会社、CFO経験者、公認会計士などに相談し、候補先を紹介してもらう方法もあります。紹介を受ける場合でも、登録状況やIPO実績の確認は欠かせません。
監査法人に断られた場合は、人員不足によるものか、自社の管理体制に課題があるのかを整理しましょう。後者であれば、経理体制、内部統制、会計論点、資料管理を改善したうえで再打診することが大切です。
必要な監査期間を確保できない場合は、無理に当初スケジュールへ固執せず、IPO時期の見直しも検討しましょう。上場後も維持できる管理体制を整えることが、結果的にIPO成功につながります。
監査法人が見つからない場合は、IPOコンサル会社に相談することも有効です。IPOコンサル会社は、上場準備に必要な経理体制、内部統制、規程整備、資本政策、主幹事証券対応などを総合的に支援します。
監査法人は、受嘱前に企業の管理体制や会計論点、資料提出の状況を確認します。そのため、準備が不十分なまま監査法人へ打診しても、受嘱を断られる可能性があります。IPOコンサル会社を活用すれば、監査法人に相談する前に自社の課題を整理し、受け入れられやすい状態へ近づけることができます。
また、IPOコンサル会社は、企業のフェーズや上場予定市場に応じて、どのような監査法人が合いそうかを整理する際にも役立ちます。自社だけで候補を探すのではなく、主幹事証券会社、VC、公認会計士、IPOコンサル会社などのネットワークを活用することで、選択肢を広げやすくなります。
監査法人を見つけるためには、「候補を探すこと」と「監査法人に受け入れられる管理体制を整えること」の両方が必要です。経理体制や内部統制、資料管理を早期に整え、IPO準備の初期段階から計画的に監査法人選定を進めましょう。
自社だけで監査法人探しやIPO準備を進めるのが難しい場合は、IPOコンサル会社の活用も検討しましょう。IPOコンサル会社は、監査法人に相談する前の課題整理、必要資料の整備、内部統制や規程類の整備、主幹事証券対応などを支援できます。
監査法人が見つからない状況に直面しても、早めに専門家へ相談し、候補先の拡大と社内体制の改善を並行して進めることで、IPOに向けた道筋を立て直しやすくなります。
多くのIPO準備企業が直面する「リソース不足」「審査停滞」「戦略構築」という3つの主要な課題に合わせ、各分野で高い実績を持つおすすめのコンサル3社を厳選して紹介します。
公式HPには個別の事例は
ありませんでした。
参照:
※1 ブリッジコンサルティンググループ公式HP(https://bridge-group.co.jp/service/ipo/)
※2 上場時市場:旧JASDAQ市場
※3 上場時市場:旧東証マザーズ市場